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職場に発生した隔たり
(エピソード6)

29 July 2021

「職場に発生した隔たり」の最後のエピソードでは、新しい働き方についての熱いディスカッションが行われました。
 
 
ヘザー:「今日、社員が部分的には自宅で、部分的にはオフィスで働くというハイブリッドな仕事スタイルが日常となっています。この新しい働き方をサポートするために、現在どのようなタイプのテクノロジーがあるのですか?また、技術者として、どのようなアイデアを考えているのでしょうか」
 

ポール:「今後は、コラボレーション技術が誰にでも使えるものであるということが重要となってくるでしょう。携帯電話などの身近なデバイスを使って、簡単に操作できるシステムを設計できるよう取り組んでいます。さらに、現在はやや不便な面もありますが、ソフトウェア・デファインド・AVと呼ばれるクラウドベースのソフトウェアがすでに存在しています。 これは、ユーザーがオフィスで会議室を利用する際に役に立ちます。 予約した会議室に問題があった場合、ソフトウェアが別の部屋を手配をするか、空いている別の部屋を見つけてくれます。  このシステムは、誰にでも簡単に操作できますし、クラウド上のテクノロジーは安定しています。しかもハードウェアへの投資を最小限に抑えることができるという、Win-Winなシステムなんです」

 

ヘザー:「しかし、自宅で仕事をすることが完全になくなるわけではありませんよね」 

 

ニコラス:「Swiss Reでは、新型コロナウイルス拡大以前から、在宅勤務プログラムが実施されていましたよ。このプログラムでは、ラインマネージャーの裁量で社員がどこでも仕事ができる技術と方針を特定の部門で採用していました。プレゼンティズムではなくアウトプットが仕事のメジャーメントなんです。 これにより、新型コロナによる新しい働き方が求められるようになってからも、会社は生産性という面では無傷でいられました。 しかし、孤立して仕事ができる社員と、社会的交流やつながりがあってこそ成長できる社員との間で、長期的にどのような影響が出るかはまだわかりませんね」

 

トム:「私たちには、強力な事業継続計画があります。新型コロナウイルスが拡大した際、メンタリング方式で知識を具現化してきた我々の組織の回復力が試されましたね。 私たちはモノづくりをしているので、特定のどこかに常にいる必要はありません。そのため、新型コロナが原因でお客様へのサービス提供に支障をきたすことは幸いありませんでした」

 

ヘザー:「この会議のパネリストとして、テクノロジーを統合した仕事の未来をどのように考えていますか?」

 

 

ポール:「私たちは、テクノロジーなしでは仕事ができない時代になったことを受け入れる必要がありますね。 職場の使い方は時代とともに変化するかもしれませんが、テクノロジーへの依存度は今後ますます高まり、AVなどの使いやすいクラウドベースのコラボレーション・テクノロジーが導入されていくでしょうね」

 

ニコラス:「まず私たちは、組織として、今の社員が新しい働き方に適応するための手順を理解しているかどうか、一方で、"デジタルネイティブ "な新しい社員が適切に配置されているかどうかをよく考える必要があると思います」

 
 

リチャード:「フューチャリストが決して正しいわけではないので、この質問に答えるのは非常に難しいですね。未来の職場環境は、Star TrekとMatrixのどちらに近いものになるか賭けをしてましたよ。 歴史的に言えば、組織について考えられてきた方法(私は経営学と呼んでいますが)は直線的で短期的であり、あまり正しい考え方ではないため、廃れていくでしょうね。第一に、複雑系をよりよく理解するようになると思いますよ。複雑系とは、人や物がどのようにつながり、お互いに影響し合うかを理解することです。第二に、人間の行動をより幅広く、豊かに理解できるようになると思います。いわば、組織の中における人間の相互依存関係です。これをゆっくりと達成する組織もあれば、このステップチェンジで「勝者」となる組織もあるでしょうね」   

 

 

このパネルディスカッションでは、雇用主がリアルタイムデータを利用して社員に情報を共有し、社員が自ら正しい選択をできるようサポートすべきであるという点で合意しました。「どの階に行けば人が少なくて、空気の質が良くなるかという選択肢を社員に与える」などの例が挙げられました。しかし、リチャードが指摘したように、センサー機能を利用してこれらの目標を達成するには「獣を放つ」必要性が生じます。雇用主は、完全なビジネスの透明性に関連して生じうる難題を再認識することが求められます。

 

最後に、ヘザーはスティーブ・ジョブズの言葉を引用し「創造性とは物事をつなぐこと」と述べ、示唆に富む活発な議論をしてくれたパネリスト全員に感謝の意を表しました。 

皆さんが、このディスカッションを楽しんでいただけたことを願っています!